水の管理

田んぼの水は、苗を寒さから守ります。
水が、苗を保温するのです。
その後は成長に合わせて水の量を調整していきます。

苗は夏にかけてどんどん伸びて、苗の根元から分かれて増えていきます。
これを「分けつ・ぶんけつ」と言います。
1本の苗の茎が5〜6本、1株で20本以上になると分けつは止まり、穂を付ける準備をします。
穂が成長して実をつける時期に、一番多くの水を必要とします。

実家は兼業農家ですが、仕事に行く時、仕事終わり、休みの日でも水を見に行っていました。
台風が来ると、天気予報に釘付けです。
始終田んぼの様子を見に行く父を見て、趣味は田んぼなのだろうと思っていたくらいです。
どうも、外れてはいなかったようですが。
それくらい、水の管理は稲作でとても重要な作業なのです。


除草

畑や庭でもそうですが、田んぼでも雑草は悪さをします。
稲に必要な栄養を持って行ったり、稲を日陰にしたり、害虫の棲みかになってしまうのです。
その為、稲がよく育つように田んぼの雑草を取ることになります。

除草風景

有名なのは除草剤です。
昔、子供の頃は夏の早朝にヘリコプターが農薬散布をしていたものです。
家から出ないようにと言われたのですが、子供ながらに意味があるのか疑問でした。
現在では、必要最低限の除草剤しか使わなくなってきています。
その為、雑草は元気に生えてきます。
後は昔ながらの、手での除草です。
田んぼは広いです。
足元が悪い中、中腰でしらみつぶしに回って行くのです。
持って歩ける距離と量と状況ではないので、抜いた傍から泥の中に沈めていくと言っていました。

除草機による除草

どうやら、除草機という物もあるらしいです。
一度、見てみたいものです。

手間暇かけた田んぼは、とても綺麗な緑の絨毯になります。
夏の水田に風が吹いて稲がそよぐ様は、本当に綺麗ですよ。


稲の病気

稲も病気に罹ります。
最も有名で恐ろしいのが「稲熱病・いもちびょう」です。
いもち病は稲の育つ間、いつでも発症します。
また、稲の根以外のどこでも発症します。
いもち病は、稲がいもち病菌に感染し発病することで起きます。
いもち病菌はカビの一種で、発生する場所によって呼び名が異なります。
場合によっては、穂に栄養が行かずにお米のとれる量が減ったり、発生した稲の株が枯死する事さえあります。
この為、色々な対策が行われています。

また、害虫も稲を狙っています。
人間がおいしく食べる稲は、虫にとってもごちそうなのです。


中干し(なかぼし)

夏の暑い頃に田んぼの水を抜いて、土にひびが入るまで乾かす事を「中干し」と言います。
これにより、稲は水を求めてしっかりとした根を張り、肥料の吸収が良くなります。
中干しの頃には「籾・もみ」ができ、籾の集まった「穂・ほ」ができます。
これを「出穂・しゅっすい」と言います。
稲は穂を出すとすぐに開花して受粉します。
受粉によって籾の中に胚ができ、養分をデンプンにして籾に蓄えて大きくなっていきます。
これが、お米です。
この前後の時期の天気が重要で、晴れて暑い日が続けばおいしいお米ができます。
反対に日照時間が少なかったり、気温が低かったりすると、お米の出来に影響します。
米どころの天気が悪いとニュースになったりするのは、この為です。
どれだけ手間暇かけても、天気ばかりは人間の力ではどうしようもありません。
豊作の年もあれば、小粒の年もあるのです。


さて、稲の穂が頭を垂れてきましたよ。


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