田植え(たうえ)


苗が育ち、代かきで田んぼの準備ができたら、いよいよ田植えです。
植える時期は3〜6月、日本全体で見ると、北が早くて南が遅い傾向があります。
品種や気候、二毛作を行っているかどうかなどで変わります。

宮城では、ゴールデンウィーク辺りが一番多いようです。
宮城のゴールデンウィークは、年によっては桜が咲いています。
桜の花と遠くの山の雪を見ながらの田植えは、とても清々しいものですよ。

手植えによる田植え

田植えをした事がない・見た事がない人のイメージは、こんな感じでしょうか?

今は全面手植えをしている所はあまりないと思います。
都会にある、学校の水田などでは見た事がありますね。
職業農家でこれをするには、膨大な時間と人手と体力が必要だからです。
冷たい水とぬかるむ足元の中、ずっと中腰です。
昔の人は大変だったでしょうね。

田植えは昔は女性の仕事だったようで、田植えをする女性の事を「早乙女・さおとめ」と呼びます。
現在は機械が主流なので、あまり使われない言葉ですね。
実家に帰れば、私も早乙女の一員(この言い方が合っているか分かりませんが)になります。

昔は写真のように、真っ直ぐ整列せず、乱雑に植えていたそうです。。
明治頃に「正条植え」が取り入れらました。
稲の列は「条」で数えるので、「列を揃えて綺麗に植える」と言う意味でしょう。
代かきで平らになった田んぼに、縄や型枠を使って目印を付け、整然と植えたようです。
これによって稲の株の間隔が一定になり、日光が均一に当たり、風通しも良くなります。
除草作業の効率も上がるので、収穫量も増えたそうです。

田植え機による田植え

これが、田植え機です。
育苗箱を乗せる棚があり、そこから苗を苗床ごと取り出して機械にセットし、機械が数本ずつ苗を植えていきます。
稲の列を「条」で数えるので、田植え機は「○条植え」というようにその能力を表します。
これがコンバイン(稲刈り機)だと、「○条刈り」と呼ばれます。
実家は3条くらいでした。
調べてみたところ、2条から10条の田植え機が売られていました。
10条って、どれだけ大きな田んぼなのでしょうか。

田植え機による田植え

これも、田植え機です。
違いは人間の状態です。
座ってますね。
田植え機やコンバインは「乗用型」と「歩行型」があるのです。
残念ながら、私は田植え機を操った事がないので、どちらの使い心地がいいのか分かりません。
見た感じでは乗用型の方が楽そうで、歩行型の方が小回りがききそうです。
ちなみに実家は、歩行型です。

最新ハイテク田植え機はどうか知りませんが、田植え機では植えられない所があります。
機械がターンするので、田んぼの四隅が難しいのです。
そこで、四隅は手で植えています。
大した範囲ではないのですが、「田植えをしたぞ」という気持ちになります。

他に、植え終わった列を見て歩き、浮いてきた苗を植え直したり、苗が少ない株に苗を足したりします。
田んぼの中ををひたすら往復して、チェックするのです。
代かきをしても田んぼ全体が寸分狂わず平らという事はなく、どうしても土に届かない苗がいたりするので。
これは、機械の精度によってはいらない作業なのかもしれません。


田植えの主役(?)は、田植え機で颯爽と苗を植えまくる人でしょう。
しかし、他の人には重要な役割があります。
「箱洗い」です。
箱は、育苗箱の事です。
苗を取り出した育苗箱には、根や土がこびりついています。
これを、田んぼの横の用水路で綺麗に洗うのです。
綺麗にして育苗センターに持って行くと、数円〜数十円ほどのキャッシュバックがあるのです。
箱ごと苗を購入しているので、別に返さなくてもいいのですが、何十・何百という育苗箱はいりません。
置く場所にも困ります。
返す以上は、綺麗に。
ついでに、ちょっとだけお金が戻るのです。
これも、その土地や農家によって違うかと思います。
実家周辺では洗って返すのが一般的でした。
ちなみに、使うのは洗車ブラシです。

田植え直後の田んぼの隅に、苗の塊が置いてある事があります。
これは後日、列の植え直しや株のつぎ足しに使う物です。
いらないから捨てたわけではないので、持って行かないようにしましょう。


田んぼに苗が植えられました。


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