探検の終わり
本棚の上に登ったしらす。
(「探検大好き、しらすさん」参照)
そのまま様子を見ていました。
すると。
「こっちのレールも、楽しいなあ」
びよーんと足を伸ばし、こちらのカーテンレールにも乗りました。
今度は距離が短いので、すぐに端に到達します。
「何だ、これ?」
壁に掛けられた手拭いを発見しました。
…嫌な予感がします。
取り敢えず、チョイチョイしてみるしらす。
「紐だ!」
次いで、紐を齧りだしました。
なかなか辛そうな姿勢ですが、猫の平衡感覚は凄いですね。
「ああ!」
紐を引っ張って齧っていたので、ずれてしまいました。
さすがのしらすも、この状態では口も足も届きません。
…と思ったら、今度は吊り下げられた南瓜をチョイチョイしています。
「さて、帰ろうかな」
チョイチョイで満足したらしい、しらす。
帰ろうと後ろを振り返ります。
狭いので、後ろを見るのも一苦労です。
「よいしょ。よいしょ」
相変わらずのへっぴり腰で、ゆっくりとバックして行くしらす。
距離は短いので、すぐに端に到着しました。
そこまではいいのですが、カーテンレールから本棚までは距離があります。
行きは前向きで足を伸ばしましたが、後ろ向きではそれも難しいでしょう。
「どうしよう…」
なす術なく、丸くなったしらす。
行きの事で頭が一杯で、帰りを全く考えていなかったのが分かります。
端で丸くなって、じっとしているしらす。
こうしていると、出会った時に雨の中で丸くなっていたしらすを思い出します。
(「しらすを食べに行って、しらすを拾った日」参照)
しらすは困ったら、丸くなってみるのでしょうか。
救出すると、しらすはまた本棚の上に登りました。
どうやら、助けてもらえると分かっているようです。
これは、賢い…のでしょうか?
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