しらす、逆立つ


夜、しらすは窓の外を眺めます。
車の音、人の声、虫の羽音など、しらすには気になるものばかりです。
窓が開いているとその前でじっと外を見つめています。
その結果、ハンターの血が騒ぐことも多々あります。 (「ハンター、しらす」参照)

今日は近くに虫も来ず、平和な夜です。
こんな時こそ、チャンスです。
窓を見つめるキュートなしらすを撮影するのです。
虫がいたら、しらすの動きにカメラが(というか、私の撮影技術が)ついていけません。
「何十枚撮ってたまに成功してる」レベルです。
すぐに確認できて、いらないものは消せるデジタルカメラ。
なんてありがたいのでしょう。
デジカメじゃなければ、我が家は謎のピンボケ写真だらけになるところです。

では、早速。

上から見たしらす

上から撮影のしらすです。
カメラの接近に気付きました。

上から見たしらす

上目遣いです。
なんて可愛らしい。

これはいけませんね。
世の女性が、小顔で愛らしく見せる為に使う技ですよ。
しらすは男の子ですよ。
可愛い子が可愛いポーズとったら、みすたんがメロメロになりますよ!

…なんて遊んでいた時です。
窓の外から大きな声が聞こえました。
動物の声である事、非常事態である事が瞬時に分かる声でした。
しらすは勿論、みすたんも凍り付きます。
声は、我が家の窓のすぐ外からしたのです。
すぐに窓に駆け寄ると、窓枠をバンバン叩いて「駄目ー!」と叫びました。
なんとか気を引いて止めたかったからです。
何かが何かに襲われていると思ったので。

猫ではありません。
猫の喧嘩は基本、眼力で決まります。
視線を交わして外した方の負けで、取っ組み合いになる事は多くありません。
猫の喧嘩も取っ組み合いも、実家で数々見てきましたが、声が違います。
声の感じからすると、中型の動物です。
ハクビシンでも狸でもない、鳥でもない、犬でもない声です。
強いて言えば、猿に似ています。

窓の外、地面は暗くて様子が分かりません。
叫び声は1匹ですが、家の周りを1周する雰囲気から、何かに追われているようでした。
かなりの速度で家の周りを走ると、そのままどこかへ行ってしまったようで、声は聞こえなくなりました。

「しらすは?」
人間でも分かる悲鳴だったのです。
猫はもっと驚き、危険だという事が伝わったでしょう。
名前を呼ぶと、しらすはテーブルの陰から恐る恐る出てきました。
今まで見た事のないくらい、全身の毛を逆立てて。
体も尻尾も、本来の2倍はあろうかという膨らみ方です。
眼も耳も、警戒と恐怖が緩んでいないのが分かりました。
2人でしらすを撫でて落ち着かせると、少しずつ逆立った毛がしぼんでいきます。

窓の外を見るしらす

ゆっくり窓に近づき、外を気にするしらす。
まだ少し、尻尾が膨らんでいます。

「ちゅんこの叫び声、近所に響いただろうね」
「仕方ないよ、緊急時だもん」
実家では、猫の喧嘩もハクビシンの夜中の遠吠え(?)も叫んで止めた事があります。
大きな声には、動物もびっくりするのです。

結局なんだか分からなかったけれど、無事であることを祈ります。


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