朝の日課


風邪も治り寄生虫も消えたしらすは、元気いっぱいです。
子猫だからか、もとからの性格なのか、どうもしらすは寂しがり屋の甘えん坊のようです。
今のところ、いたずらばかりで危ないので夜はケージに入れています。
朝、人の気配がしたと同時に鳴いてお出迎え、まではいいのです。
ケージに近付くと、どんどん興奮して鳴きながら動き回り、扉を開けた時にそれは起こります。
扉を開けて手を伸ばした瞬間。

ばたっ!

何かに撃たれたように横に倒れてしまいました。

「かまって!」

と言わんばかりの眼差しで私の手に何度も頭を擦りつけ、ゴロゴロと喉を鳴らします。
ひとしきり撫でられ、すりすりすると、「次!」とばかりにみすたんに駆け寄ります。
「かまって。撫でて。抱っこして。さあ!」
しらすの迫力に、みすたんは大人しく撫でます。
しばらく撫でてもらうと満足したのか、部屋中を歩き回ります。
「朝から、元気だな」
「きっと、パトロールしてるんだよ」
「大変だなあ」
みすたんは出勤の準備のため、リビングを出て行きます。
みすたんの消えた扉を気にしつつ、しらすはパトロールを続行。

隙間から覗くしらす

テーブルの下、クッションの上、ダンボール階段タワーとせわしなく歩き回るしらす。
何かを確認し終わったらしいしらすは、ニャーニャーと鳴き始めます。
「ひと仕事終わったよ。ごはん、ちょうだい」
そう言っているとしか思えません。
キャットフードを用意すると、おいしそうに食べ始めます。
私が朝食を作り終え、みすたんが着替えてリビングに戻った頃、しらすの食事は終わってしまいます。
食べたら、出るのが生き物です。
朝食を食べながらしらすのトイレを眺めるのも、慣れてきました。
ものすごく真剣な顔で用を足すと、砂をかけ始めます。
かけて、かけて、かけまくります。
おかげで前回のチーの塊が出てきて、ビックリしたしらすは、また砂をかけます。
エンドレスです。

ようやくトイレから出てくると、しらすは目がキラキラ輝いています。
お腹はいっぱい、トイレですっきり、目の前にはみすたんとちゅんこが揃っている。
しらすのテンションは一気に上がります。

「遊んで!」

部屋中を高速で走り回り、みすたんの手足に飛びかかり、ちゅんこの膝に乗って朝食を覗き、新聞紙にダイブします。
ごはん、食べれません。
ここでアレの出番です。
必殺、アルミ玉にゃんこボール。
みすたんが容赦なく放り投げると、猟犬の如く追い回します。
当初は追いかけていただけなのですが、前足で交互に蹴ることを覚え、今ではサッカー選手のようなボールさばきを見せてくれます。
夢中でアルミ玉を追い回している間に、みすたんは出勤です。
お見送りと戸締りのため、私も一緒に玄関へ。
すると、部屋に自分しかいないとしらすも気付くようです。

「どこいったのー!」

かわいらしい子猫がこんな声出せるのか、と感心するような必死の鳴き声が聞こえます。
「呼んでるよ?」
「しら、いるよー」
玄関から呼びかけると一瞬は鳴き止みますが、すぐに鳴き始めます。
どうやら、「帰って来い」という意味のようです。
どうしようもないので、みすたんは出勤です。
部屋に戻ると、すりすりと寄ってきます。
扉をじっと見るので、みすたんはお仕事に行ったよと伝えてみます。
分かったのか、諦めたのか、一人いれば取り敢えずOKなのか、しらすは再び遊び始めます。
夜や外出時にケージにいれてもそこまで鳴くことはないので、自由にしている時は誰かいる筈だと知っているのかもしれません。
私がトイレに行くときも、顔を上げて見るけれど、鳴きません。
何故、分かるのだ。


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