育苗(いくびょう)


稲作には「水稲・すいとう」と「陸稲・りくとう」があります。
字の通り、水田で稲を育てるのと、畑で育てるものです。
私は陸稲を見た事がありませんので、水稲についてお話します。

 
稲を育てるのにも勿論、種が必要です。
稲の「種」の部分は、普段食べている「米」なのですが、当然ながら白米を蒔いても稲は育ちません。
稲の種の事を「種籾・たねもみ」と言います。
前年収穫した米の、脱穀していない籾殻付きの物です。

籾と玄米

左が籾殻付きのもので、これが幾つも集まっているのが稲穂です。
右は籾殻を取ったもので、玄米と呼ばれます。
玄米を綺麗に磨いた物が白米で、取り除かれた物が「糠・ぬか」です。

ここで、「塩水選・えんすいせん」を行います。
塩水選は塩水に種籾を入れて、沈んだ物を採用することです。
これにより、比重の大きな、実の詰まった良い種籾を選ぶことができます。
また、発芽を揃えたり、病害を避ける意味もあるそうです。
初めに思い付いた人はすごいと思います。

苗の育て方は、直接種籾を蒔く「直播・じかまき」と、育てた苗を植える「苗代・なわしろ」の栽培法があります。
私は直播を見た事がないので、苗代栽培のお話をします。

苗を育てるのは、プランターや畑ではありません。
育つとは思いますが、その後に田んぼに移動する効率が悪いからです。
育苗には「育苗箱」と呼ばれる、平らで浅い長方形の箱を使います。
材質はプラスチック製が主かと思いますが、木製も見た事があります。
育苗箱は全国統一の規格があり、30×60×3cmです。
この箱は、田植えの機械に丁度入る大きさです。
また、箱が揃っている事で管理も楽になります。
あっちのプランターは土が浅くてすぐ乾く、こっちは深くて水浸し…では、一定の大きさに育てるのも大変です。
高さが違えば、日当たりも変わりますね。
大抵は車で苗を田んぼに運びますから、かさばらずに運べるのも重要です。

さあ、種籾を蒔きます。
育苗箱から土がこぼれないように、大きさを合わせた新聞紙を敷きます。
土は肥料や色んな土をブレンドした物を使っていました。
定規のようなもので土を均して平らにし、機械が種籾を落とし、上から土をかけます。
これをビニールハウスに並べ、水やりと温度管理を行います。
手間暇かけてようやく、ふさふさの芝生のような苗になります。

ちなみに、苗をどこまで育てるのかは地域によっても違うそうです。
気象的に余裕のある地域では、育苗期間が短いものを植えるみたいです。
実家は宮城なので、そこそこ育った物を使っていたようです。

以前は実家でも育苗していましたが、仕事をしているとなかなか難しいです。
その為、現在は育苗センターで苗を買っています。 

ビニールハウスでの育苗

ハウスの中の苗です。
撫でるとさらさらしていて、風に揺れる姿がとても綺麗です。

さあ、苗ができました!


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